アナログの役割
皮肉なことに、戦争による兵器開発の中でコンピューターなどの技術が進化して、今の生活を支えています。
便利で豊かな生活を求め、進化を続けた時代錯誤の発想と想像力が現代を築きあげ、時代錯誤となった生活や道具が贅沢になり得る。
今は、そんな不思議な時を生きている。
設計や加工技術の進化で容易に量産ができる世界。
昔は不要だった知識が必要になり、生活に必要だった道具が不要になる。
当時は生活に必要な道具をつくるのも大変だったことと思います。量産でないということは、個性のある道具が人にあわせた変化をして、大切に扱われていたのが想像できます。
考えてみれば、最近、キャンプなどのアウトドアが流行っているのは、自らちょっと不便な生活体験をすることが贅沢ともいえる程に、人は便利に疲れているということ。
昔では日常だった生活を追体験することを楽しめるのであれば、人はアナログなコトや道具にも心躍るのも納得できます。
今後どんな変化をしていくかは想像もできない世界だけれど、"利便性=幸せ" ではないと人は本能的に求めているのだと思います。
殴り書きのメモが教えてくれたのは
海外生活から帰国する際に生活を共にしていたみんなから手紙をもらいました。
空港のベンチでふと思い出し封筒を開けてみると、ノートをちぎった紙に書かれた、読めないくらいの殴り書きの筆記体の英文に、ハテナを浮かべながら涙したことを思い出します。
自分では意識していなかった言動や感情を、思っていた以上に感じとったり意識したりしていてくれたことに驚いたのを覚えています。
リレオストアでレターセットを作ろうと思ったのは、綺麗な文でもなければ丁寧な言葉でもない。そんな何でもない言葉に笑ったり感謝したりと心を動かす力があると感じたからです。
不便な事を無理に行う必要はないと思いますが、ブランドとしては便利だけの道具ではなく個性や愛着を感じ取れるモノづくりを目指しています。
ちょっとの不便はご容赦いただき、シンプルで愛着の持てる道具として楽しんでいただけるご提案をしていけるように精進致します。